雪国では向かない素材や施工方法①
弊社は秋田県内陸県南地域で住宅を建築する会社です。いわゆる豪雪地帯で家づくりを行っている会社ですので、雪国ならではの建築工法について皆さまに情報発信をさせて戴きたいと思います。
第1回目は屋根の野地板について触れてみたいと思います。
雪の降らない地域では瓦やスレートを使った屋根が多く見られますが、秋田県では沿岸部を除けば殆ど金属製の屋根です。昔は「トタン屋根」と呼ばれていましたが、現在はガルバリウム鋼板製の屋根に進化しています。なぜ金属製の屋根が殆どなのかと言うと、積雪量が半端ない地域ではそれしか選択肢が無いからです。屋根に雪止め金具を付けた家では数ヵ月もの間、屋根の上に雪が積もった状態が続きます。ここが雪の降らない地域との絶対的な違いです。屋根に積もった雪はその日の天気で様々な状態に変化して行きます。例えば天気が良く、気温が高い日中には雪が少しずつ解け、水滴となって軒先から落ちてきます。ところが夜になると気温がグッと下がり、解けた水滴が氷に変わります。こういう現象が数えきれない程続くと、いずれジョイント部分から水が浸透してきます。これを「スガ漏り」と呼びます。こういう現象は雪国だけで起こるもので、東京など雪の降らない地域では無縁です。
さて「スガ漏り」の話は後日する事として、冬期間の屋根の温度はと言うと氷点下15℃以下になります。そして夏はと言うと最近は温暖化のせいか東京とあまり変わらないくらいの気温になります。屋根の温度は素手では触れない程の熱さになります。つまり、一年を通して考えると屋根の温度の寒暖差は約80℃くらいになるのです。この過酷な気候条件の下で屋根の野地板に『構造用合板』を使用する住宅会社が多くいますが、弊社ではNGです。なぜか?それは数十年後リフォームで屋根を葺き替えした時に分かります。構造用合板は薄い板を接着剤で貼り合わせた板です。いくら構造用と言っても、この過酷な状況下では長期間持ち堪えられません。接着剤の効果が失われ、ベラベラに剥がれてくるのです。
ですから、弊社では野地板には杉のバラ板(無垢材)を使用します。長年に渡り、リフォームで屋根の葺き替えをした経験を元に出た結論が「杉のバラ板」なのです。「杉のバラ板」は無垢材ですので剥離などは絶対に起きません。何十年経過していても腐食していない限り、持ち堪えられるのです。一見して古くさいやりかたと思われる方も多くいらっしゃるかと思いますが、古いやりかたの方が実は理にかなっている場合もあるのです。少なくとも雪国秋田で家を建てる際には野地板に「杉のバラ板」を使われる事を強くお奨め致します。