今年はリフォームがお得かも!?
昨年の春に起こったウッドショックを皮切りにあらゆる資材価格が暴騰し、今もなお高騰が止まらない。コロナ禍だけではなく、ロシアとウクライナの戦争が大きく影響を及ぼしている。特にロシアからの輸入品が入って来ないのが本当に痛い。日本の建築業界では国産の木材が山のようにあるにも関わらず、殆どの住宅会社が輸入品を使っている。理由は「価格が安い!」。ただそれだけだ。日本の国土で人間が暮らせる場所は3割しかないと言われている。他の大部分は山である。その山の麓には多くの森があり、多くの木々が育っている。自分達の住むそばにたくさんの木があるのに、活用されるのはわずかな量の木だ。しかも伐られる木は細い間伐材ばかりで、構造材として使える木はとても少ない上に高額だから、誰も買わない。遠い異国の地で育った木の方が運送コストを掛けても、国産よりはるかに安いという点もおかしな話である。どうせ伐採しても輸入材より安くはならないからと言って、林業から離れる人もいる。
「地産地消」という言葉が叫ばれて久しいが、これは「食」だけに留まらず、ぜひ「住」の方でも考えて戴きたい。とは言え、高額な国産材をお客様へ押し付ける訳にもいかないし、我々のような工務店がどうにか出来る問題でもない。これは国策としてやらなければならない課題だと私は思います。普通に考えても北米や北欧そしてロシアから来る木材と地元で伐採される木では輸送コストに大きな差が出てくる。他に行う作業は国産材だろうが輸入材だろうが同じ工程を踏んで製材される。運送コストが抑えられるにも関わらず国産材になると輸入材の価格の2倍や3倍にもなるというのはナゼなんだろうか?実に不思議な話である。日本は資源の無い国とよく言われるが、木材に関してはたくさん有るではないか。国の偉い人達はもう少しこちらの事も考えて戴きたい。
いまロシアからの輸入材がストップすると構造材はもちろん、合板も作れなくなる工場が出てくるだろう。原材料が無ければ製品は作れないし、むろん供給もストップしてしまう。昨年だけで住宅価格は二次曲線を描くように価格が上がったが、この戦争で更に価格が上がる事は確実であり、これは住宅購入者を始め住宅産業に関わる全ての人に大きなダメージを与えかねない出来事として危惧している。ここまで来ると、もはや企業だけで問題を解決する事など出来るはずも無く、国が何かしらの手を打たない限りは現状を打開出来ないと私は考えている。
さて、前置きが長過ぎましたが本題に入ります。上記の事を前提に考えると、これから家を建てる人で建て替えかリフォームかで迷われている場合はリフォーム工事の方がお得と私は考えます。一番の理由は資材の購入費が抑えられるからです。勿論どんな住宅でもリフォーム工事の方が適している訳ではありません。中には建て替えの方が良い場合も有り得ます。でも、リフォーム工事が対応可能な家であれば、こちらを選ぶ事も得策な選択肢だと言えます。
リフォーム工事の最大の魅力はあるモノを再利用して使い、全く異なるライフスタイルの家に変えること。資材価格が高値で維持して行くのが分かっている現状では最良かつお買い得な選択肢の一つだと思いませんか?
また集成材ではない無垢の木で造られた住宅の場合、その木の強度は腐っていない限り全く問題なく使えます。なぜならば無垢の木の強度は伐採してから200年もの間ずーっと強度が上がり、1000年かけてゆっくりと元の強度に戻るからです。つまり、築30年、40年の家はまだまだリフォーム工事の対象物として考える事が出来ると言う訳です。