体のトラブルは冷え性から?内科医 小田嶋まさる先生が解説する『頭寒足熱』
ちょっとした体のトラブルと"冷え性"の関係性日常診療をしていると「お腹が張る」とか「お腹が痛い」「便通がよくない」「おしっこが近い」「すっきりおしっこがでない」と訴える方が多くいらっしゃいます。
また、「何だか足腰が冷える、しびれる」と症状も多くみられます。寝つきがよくないとか熟睡できないという方も多いですね。冬場になると寒くて何枚も下着を着てカイロを体中に貼っている方も多く見ます。
靴下を2枚とか履いている人も多いですね。夏でもエアコンの効いた室内は体がおかしくなるので毛糸の下着など重ね着している方もいます。
こういった方々に共通しているのは"冷え性"という体質なのではないかと考えられます。
もちろん通常の医学的な考えでは何それ?と思われることで内科の教科書にも載っていません。
ただ「お腹が痛い・張る」といわれてもレントゲンや超音波検査、内視鏡検査をしてもほとんどの方異常は認められません。もし病気が見つかっても偶然発見され症状とは何ら関係ありません。「おしっこが近い、すっきりしない。」と言われて、検尿や膀胱を検査しても何にも問題ないことが多いです。
足が冷えるといっても、足の血管は正常でMRI検査をしても異常なしとの返事がほとんどです。睡眠に関しても頭のCTをしても異常はありません。
こんなとき皆さんに心配する病気はないと伝えるのですが、「ではどうしたらいいのか?」ということになります。
免疫力もアップ!健康に欠かせない『頭寒足熱』みなさん『頭寒足熱』という言葉を聞いたことがあると思います。
これは足が冷えやすいので温める。頭は熱くなりやすいので涼しめでという考え方です。
心臓は全身に血液を送る大事な器官ですから、心臓から一番遠い場所にある足を温めることで、全身に血液が行き渡りやすくなって心臓の働きを助けることと、脳は大量のエネルギーと酸素を消費する臓器であり、それを補うため常に大量の血液は流れ込んでくるため、頭は熱がたまりやすい部位であるため、熱がこもるとのぼせの状態になります。
このため頭を冷やすことが必要になります。頭寒足熱で内臓機能の働きを改善し、免疫力もアップすると考えられております。また自律神経の働きを調整し、頭がすっきりしたり、不眠やイライラ、更年期障害、うつにも好影響を与える可能性も考えられています。
頭寒足熱は東洋医学なのかとお思いかもしれませんが、おそらくこの語源は117世紀のオランダのヘルマン・ブールハーフェとうい医学者が残した「医学における重要な秘宝」とうい書物に残された言葉で、「頭を冷やし、足をあたためる。これで病気知らず」からきているのではないかと考えられています。江戸時代オランダより日本に伝わり頭寒足熱という熟語ができたのではないかということです。
この頭寒足熱の実践ですが、頭を冷やす必要はなく上半身はどちらかというと涼しめにして、下半身を締め付けないようにして温めることが大切です。
冬場も床暖房で足元がほんのりあったかい環境で、上半身・下半身ともにあまり重ね着をせず、薄着であまり締め付けるものを身に着けないこと、靴下も重ね履きしないで生活することが良いと思います。
小田嶋まさる内科医院 小田嶋まさる先生日本消化器病学会 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
院長 小田嶋 傑先生
【診療科目】消化器内科・内科・内視鏡内科・各種検診・各種がん検診・人間ドック
【TEL】0182-38-8951